企業SNSの炎上はなぜ起こってしてしまうのか?必要な倫理観とは?

マーケティング基礎

2020.11.12

桜井 貴斗

マーケター桜井 貴斗

おはようございます、桜井です。

昨今、企業アカウントの炎上が頻繁に起こっている印象を受けます。
本日は企業SNSの炎上はなぜ起こってしてしまうのか?必要な倫理観とは?をテーマに私が感じていることをまとめてみたいと思います。

※この記事を読めば「炎上しない、フォローが増える」などのtips系記事ではありませんので、あらかじめご承知おきください。


昨今の企業SNS炎上パターン

あまり振り返りたくありませんが・・・直近で記憶に残っているのは以下の2つです。

“生理は個性”で本当にいいの?花王・ロリエ「kosei-fulプロジェクト」が炎上した理由
アツギが「性的消費」と炎上。タイツを履いた女性のイラストで商品をPR

どちらも消費財であり、多くの購入者を持つブランドであると認識しています。良識がある(と思われる)企業でなぜ炎上が起きてしまうのでしょうか?

花王の記事では以下のように書かれています。

(以下抜粋)
同プロジェクトは「生理を“個性”ととらえれば、私たちはもっと生きやすくなる」というメッセージの下、スペシャルサイトをオープン。サイト内には、俳優の清野菜名さんを起用した動画広告や、花王の女性社員72人に対して行われた、生理に関するアンケートの結果などが公開されている。

動画広告には「生理がしんどいと思った時には、我慢してしまう」「上司には理由までは言えないかもしれない」といった女性たちの意見が並ぶ。生理を“個性”ととらえる。この時点で男性である私もおや?と違和感を感じていました。女性特有の悩みにスコープした企画です。

ちなみに企画コンセプトは以下の通りとなっていました。

誰かが生理で休んだとき、「お大事に」って口では言ったけれど、心のどこかでは「生理で休むなんて…」と思ってしまうことがあったり。“生理は一人ひとり違う”頭ではわかっていても、女性同士だからこそついつい自分にあてはめて考えてしまうのが、リアルだったりする。

けれど、その違いを 受け入れ合うことができれば。違いを“個性”ととらえることができれば。今まで見えなかったことに気がつけたり、そっとフォローしあえたり、私たちはもっと気持ちよく 助け合えるはずだから。ロリエは、“kosei-ful”プロジェクトを はじめます。

今回の炎上については既に多くの方の見解があるため長々と書くことはしませんが、私自身は以下の理由に最も納得感を得ています。

①「個性」という表現が使われたことで、社会問題としての解決を訴えるよりも、女性同士の配慮という自己責任論に帰着したメッセージになった点。

②ジェンダーなどの社会問題を広告で解決するというグローバルな流れはあるものの、それらの表面的な理解で企画を打ち出し、問題提示や解決策の仕方を間違えてしまった点。

生理=ネガティブを個性として(無理に)ポジティブ変換することで、本当に辛い人を置いてけぼりにしてしまったこと、そして企画のテイスト・言葉遣い・クリエイティブ(診断コンテンツ含め)が「柔らかさ・親しみやすさ」ではなく、「表面的・商業的」と捉えられてしまった、というのが炎上の理由ではないかと考えています。


どうすれば炎上は防げるのか?

炎上を防ぐことは本質的な目的ではありませんが、企画を実行する上でリスクヘッジしなければなりません。

ではどんな点に配慮しなければならないのか?について以下の3点をまとめてみました。


①全社員が炎上へのリスク・意識を持つ
SNS上でコンプライアンスを守ることはもちろん、それ以外にも「日頃の接客・サービスのクレーム」がSNSへ飛び火する可能性も考えられるため、SNS担当者以外の方も炎上へのリスク・意識を持つ必要があります。

②LGBT(特にジェンダー)への理解が大切
昨今、LGBTへの配慮不足による炎上が目立ちます。「男性だから〇〇すべき」「女性は〇〇しなければならない」など、(無意識に)男女でカテゴライズしてしまうケースもあり、一層の注意が必要となります。

③ネガティブな意見にこそ真摯に向き合う
企業アカウントの運用ルールにもよりますが、「企業やブランドへのネガティブなコメント・意見」にこそ真摯に向き合うことが求められ、その姿勢を消費者は見ている傾向にあります。消費者に向き合う姿勢を公に表現することが肝要となります。

昨今の炎上は②のLGBTや特定の性別特有の悩みが焦点に当たることがあります。

しかし無理な「ポジティブ変換」が消費者を置き去りにしてしまうのではないかな、という所感を持っています。ポジティブ変換ではなく、まず悩みを理解する姿勢を示し、その後にアクションがあっても遅くないはず、と思っています。

そういった意味ではパンテーンの「#PrideHair」はその勘所を押さえているなぁと。

まず、上記の①~③を意識することがステークホルダーである他者に寄り添うことにも繋がるため、企業担当者の方にぜひ心がけていきたいポイントだと思っています。


明瞭な運用定義書をつくる

ここまで炎上の理由と対策についてお話してきました。
では具体的に何を考えればいいんだ??ですが、ズバリ運用定義書をつくる(手直しする)ことをオススメしています。



SNSの全体戦略とは具体的には以下の内容を網羅的に検討することを指します。ここがまずブレてしまうとすべて間違ってしまうため、労力をかけてでも検討すべきポイントだと思っています。

◎SNSの全体戦略
・誰に(ターゲット)
・何を(コンテンツ)
・どこで(メディア)
・どうやって届けるか(プロモーション含む)
・どうなって欲しいか①(エンゲージメント)
・どうなって欲しいか②(CV)

あくまでイメージですが、↓のようなイメージです。



その他、運用体制・コメントフロー/対応・ソーシャルメディアガイドライン・プッシュルールなど、細かなレギュレーション設定はありますが実務的な話のため、ここでは割愛します。

※運用定義書の作成でお困りの方がいればご一報ください!ご一緒につくったりもできますのでお気軽にご相談を!


まとめ

最後にまとめです。
SNS内での倫理観を保ち続ける上で、まず以下の3つを押さえてもらえればいいかな、と思っています。


①炎上のパターンを知り、意識を統一する
(運用担当者外の利害関係者含め)

②SNSを運用する目的を明確にする
(ユーザーにとって便益のある内容に)

③SNS運用定義書を作成して、明確なルールをつくる

よく「どうしたらフォローが増えますか?」や「SNSを活用してイベント来場につなげるにはどうしたらいいですか?」などのご相談をいただくのですが、、、この質問は結構根深い問題を抱えていると思っています。

なぜ根深いか?

それは自社のメリットを最優先に考えてしまっているからです。
またそのマインドを持っていると、自社の倫理観を(無意識に)他者へ押し付ける格好となってしまい、炎上リスクも同時に上がってしまいます。

炎上のリスクヘッジをしながら、ユーザーファーストの運用目的を設定し、明確なルール(運用定義書)をつくることがSNS運用の第一歩だと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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