選びたい私、迷いたくない私。

マーケティング基礎

2019.07.05

三浦 奈生

マーケター三浦 奈生

先日、外出先(富士市内)で昼食に立ち寄ったお店が、数十種類あるおかず・総菜から自分で自由に選んでトレーにのせて、お会計して食べるスタイルでした。

チェーン店でちょくちょく見るお店なので、もしかしたらご存知の方もいるかもしれません。味は抜群に美味しい!わけでもないけれど、もちろん美味しくないわけでもなく。ただ個人的には、「不思議な満足感」でお店を後にしたのでした。

話は変わり、「ジャム理論」という話をご存知でしょうか。

アメリカの大学教授がスーパーマーケットにジャムの試食ブースをつくり、24種類のジャムと6種類のジャムを数時間ごとに入れ替えて提供。買い物客の反応を調べるという実験です。

結果は、

・24種類のジャムを並べたとき→買い物客の約3%が購入
・6種類のジャムを並べたとき→買い物客の約30%が購入

要は、選択肢が多すぎると人は決断できず購買意欲が減退する、適度に少ない数の方がよい、(この教授の提案だと5~9)、というマーケティングの法則です。悩むことは一種のストレスであり、それは決断することを面倒くさく感じさせてしまうということです。

選択肢が少なければいいのだろうか?

では冒頭のごはん屋さんは、マーケティング的に失敗しているのでしょうか?明らかに「選択肢が多すぎる」お店です。セットじゃないから面倒くさい、お腹が満たされればなんでもいいのに、と敬遠する人も少なからずいるはずでしょう。

ただ、個人的には「好きなものを選べる満足感」が「面倒くささ」に勝っていた。
ごくごく普通の外食の味が、ちょっと美味しい、と思ったのは、おそらく自ら選んで組み合わせた「MY定食」、選んだことへの「納得感」があったと考えます。(仮に、その時私の選んだお惣菜たちが、既にセット定食になっていたのを食べても、そこまで美味しいとは感じなかったはずです。)

例えば「自分がこれを選んだ」という「納得感」は、同時に「満足感」も与えます。
特に、自分にとって大切なもの、価値あるもの、高単価なものに関しては、失敗したくないですし、選んだ自分も肯定したい。

そういうユーザーにとっては、絞り込んだ選択肢を並べて選ばせるよりも、ひとつひとつの商品の背景のストーリーを伝え、理解した上で選んでもらう、「これがいい」と思ってもらった上で購入してもらった方が、何倍も高い満足感が得られます。

選択肢が多いことを、ポジティブにとらえるユーザーもいるでしょう。
某外資系スーパーのように、入った瞬間から何かありそう!と妙な高揚感で、わくわくする店づくりもあります。または、合羽橋の問屋街のお店のように、ニッチなジャンルで感心するほど網羅された品揃えは、お店やセレクトした人に対する信頼感も生みます。

そういった場であれば、多すぎる選択肢から迷わない道筋をたててあげる必要があると思います。店頭やECサイト上のコンシェルジュ、チャットボットや、機械学習からのレコメンド商品がそれにあたるかと思います。

何を「満足」として与えられるか、顧客の心を満たせるか

ただ選択肢を5~9にすればいいのではありません。(もちろん考えるヒントにはなると思いますが。)
結局、商品を選ぶユーザーの心情を、いかに想像できるか。どうしたらただ買うだけでなく、そこに満足感を与えられるか?を考えるのに尽きるかと思います。

そうでなければ、4P分析でいうところのPlaceを圧倒的に掌握している、大手企業、Amazonのようなグローバルレベルの企業には太刀打ちできないからです。

買ってもらう・選ばせる、と単なる行為で終わらせるのではなく、購入することが素敵な体験につながることが、これからの消費の場に求められるのだと思います。

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