業務効率化を「マーケティング視点」で考えてみた。

ローカルコラム

2020.10.10

桜井 貴斗

マーケター桜井 貴斗

こんにちは、桜井です。

本日はいつもと違う角度からお話をしてみたいと思います。

当社でもリモートワーク、直行直帰を交えた業務効率化を進めていますが、自社他社を含め、「具体的に売上に直結した」や「生産効率が上がり残業が減った」といった目に見えた成果にまでは至っていないように感じています。

本日は、なぜ業務効率化は実感しにくいのか?についての理由と、私なりに実践している業務効率化をまとめてみました。


なぜ業務効率化は実感しにくいのか?

以前、地方でリモートワークが進まない理由について以下にまとめてみました。


そこで出した結論は、

・本質的に人は変わりたくないと思っている(現状維持バイアス)
・メンバーシップ型の組織構造となっており、リモートに適さない
・目的意識が「顧客・社会への成果貢献」に振り切れていない

でした。

今回の業務効率でも同じようなことが言えると思っていて、そもそもなんのために業務効率をしたいのか?(目的を決める)が共通認識になっていないまま、「業務をシャープにします!」とスローガンが発せられあれよあれよと施策が走っていく姿を目の当たりになりました。

これでは組織のリーダー以外は受け身となり、効率化したはずの業務がタスクとなり、仕事がシャープになったけれど、メンバーのマインドはやらされ感満載になってしまいます。

これまでの話をまとめると、業務効率化が実感しにくいのは、以下の3つポイントではないかと思っています。

・業務効率化の目的が不明瞭、不一致
・効率化だけに囚われ、「やらない」という選択肢がない
・組織がメンバーシップ型となり効率化と相反する

以下より細かく説明していきます。


理由①:業務効率化の目的が不明瞭、不一致

まず第一に、業務効率化の目的が良く分からない(なんとなく時代だから、効率化の方がいいから)と、会社・組織として目的がバラバラ(仕事のパフォーマンスが上がる、という人もいれば早く帰れる、という人も)であることが、業務効率化を妨げている原因だと思っています。

少し前の事例ですが、LCCのピーチ航空が掲げているビジョンが有名なのでご紹介します。

会社を成功させるには「ビジョン」が大切【LCCピーチの例】

筆者からの「ピーチは何のために存在する会社なんですか」という不躾な質問に対して、井上社長は「よくぞ聞いてくれた」という表情をしながら、ゆっくりと「それは戦争をなくすためですよ、山口さん」と即答されていました。
引用:山口周『ニュータイプの時代』

LCCの名の通り、格安航空会社であるピーチ航空はコストも業務もシャープにしなければ儲けられない会社であることは自明なので、必然的に業務効率を図っているはずですが、その会社が掲げているビジョン(存在意義)が「戦争をなくす」ということなんです。

もう少しブレイクダウンすると、こんな感じです。

過去には日本とアジアの国々との間で戦争・争いが相次いだ

ああいうことを二度と起こしたくない

そのためには友達がいろんな国にいるという状態にしたい(友達ができれば争いは起きにくいはず)

そのためには若いうちからどんどん外国に出て、いろんな文化に触れ、たくさんの人と知り合ってほしい。

ではどうするか? 財布の軽い若い人でも乗れて、いろんな国に行ける、そういう航空会社が必要

ピーチがそれをやる

業務効率化の目的が「戦争をなくす」というのは少々壮大ですが(笑)、私が伝えたい趣旨には合致しているため、紹介させてもらいました。

業務効率化によって単に「時間ができる、早く帰れる」は表層的な話であり、かつ「自分都合」の目的だと思います。

そうではなくて、何のために我々は存在しているのか?そのためにはどんなことをやらなければならないのか?からブレイクダウンした結果、じゃあ業務効率化しなきゃいけないよね、という話の流れになるのが筋であり、納得感があるんだと思います。


理由②:効率化だけに囚われ、「やらない」という選択肢がない

2つ目が「やらない」という選択肢を持たないということです。業務「効率化」というくらいなので、「実在している業務をシャープにする」という考えに囚われ、そもそも業務そのものが不要では?という議論がなされないことがあります。

実例としてわかりやすいのがハンコですよね。
例えば、申請書・申込書などの各種書類をクライアントさんからもらう際に「ハンコ」が必須だった場合、

こちらから書類を送付(メール・FAX)

クライアントさんが書類を出力し、記入・捺印

データスキャン後、メール or FAX送信

と結構な手間が発生してしまいます。

そうではなく、ここでの論点である「クライアントが確認した」と証明されればいい、ということであれば電子捺印やメール証跡で十分であると言えます。であればそもそもハンコいらなくない?となり、業務そのものがスリムになる、ということです。

多くの人が真面目なので「今ある仕事は意味がある(はず)」と思い込み、業務フローに組み込んでしまう癖がありますが、会社・組織の目的(存在意義)からブレイクダウンしたときに「必要・不要」の判断からしていく必要があるんじゃないかと思っています。

その他、私が不要だと思っていることを書き出してみます。

・出社(コミュニケーション取れればよくない?)
・スーツ、革靴を身に付けること(清潔感あればよくない?)
・クライアントへの資料出力(データ閲覧できればよくない?)
・電話(チャットやメールの方がわかりやすくない?)
・日報(1日5分話すだけでよくない?)

賛否両論あると思いますが、目的に合致しているのなら慣習に囚われる必要は一切ないはずです。


理由③:組織がメンバーシップ型となり効率化と相反する

3つ目は組織体系に問題がある、ということです。

私のメンバーシップ型・ジョブ型の解釈としては以下の通りです。

メンバーシップ型:人を集めてから仕事を振る
ジョブ型:仕事を集めてから人に振る

多くの企業の組織体系はメンバーシップ型であると言えます。総合職にて新卒一括採用、なんかはその際たるものです(私もかつてそうでした)。ホワイトカラーで働いている人のほとんどがメンバーシップ型である(もしくはそうならざる得ない)とも言えます。

メンバーシップ型がなぜ効率化と相反するのか?と言うと、「人を先に集める」ことがそもそも無駄であるからです。

常時仕事がわんさかあればいいですが、コロナ禍で起きている現状は、

・有効求人倍率がビフォアコロナの約半分に
・多くの倒産、廃業
・大手企業の希望退職

とネガティブなニュースが多くなりました。

そして「人を先集めて仕事がない」となにが生まれるか?というと、人は仕事を作ってしまうのです。

まさに、ブルシット・ジョブです。


人はそもそも「誰かの役に立ちたい、貢献したい」と思うはずなので、仕事を通して自己実現をしようとします。しかし、自分に仕事がない、と分かると慌てて自分の仕事を作りにいってしまう習性があると思います(もちろん例外もいますけど)。

つまりメンバーシップ型は仕事があるときには有効に働きますが、今のような時代にはそぐわなく、かつ業務効率化と相反するため、相性が良くないということです。

ではどうするか?というと、ジョブ型に切り替え、自らの職能をベースにして仕事と向き合っていくことが求められると思います。

メンバーシップ型とジョブ型は、プロダクトアウト・マーケットインの発想にも近いと思っています。

・メンバーシップ型=プロダクトアウト
商品、サービスを作ってからどう売ろう?と考えるスタンス

・ジョブ型=マーケットイン
今の職能に合わせてどんな商品・サービスが必要だろう?と考えるスタンス

つまり商品・サービスだけがマーケットイン視点を持つだけではなく、組織そのものがマーケットインの発想になることが、ジョブ型雇用ではないか、ということです。

以上、業務効率化を考えるときに効果を実感しにくい3つのポイントとしてまとめてみました。

業務効率化、DXを推進する誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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