お城+朝食=? 視点を変えることで生まれるコンテンツ

ローカルコラム

2019.05.08

三浦 奈生

マーケター三浦 奈生

今年の10連休は旅行に行かれた方も多かったのではないでしょうか。

実家への帰省など何か目的がある場合を除けば、旅行というのは、自分で行き先(目的)、スケジュール、予算、交通手段を決めるものです。

観光業などにとっては、旅行者に「行き先」として選んでもらうために、魅力的な観光資源、コンテンツ(風景、文化、食、体験)をいかに認知してもらい、しかるべき時に想起させ、行きたいという気持ちを掻き立てることが大事かと思いますが、ずっと同じ観光資源では飽きられてしまうというもの。
時には新たな視点でコンテンツを提供し続けることが肝要だと思います。

そのような中、古都京都にある二条城では、とある体験が話題になっています。

二条城といえば言わずもがな、御殿は国宝、障壁画は重要文化財、お城自体も世界文化遺産の構成遺産という貴重な史跡です。

その二条城の一角には、江戸時代に建てられた「香雲亭」という歴史的建造物と、「清流園」という見事な日本庭園があるそうです。清流園は庭の一部が一般開放され回遊ルートになっていますが、香雲亭は茶会などの特別な際に公開されるのみで、普段は一般の人は立ち入ることはできない特別な場所。

そこで提供され始めたのが、通常非公開の香雲亭の広間から、清流園の美しい日本庭園を臨みながら朝食を頂けるサービスでした。朝食は京都の食材をつかった湯葉がゆ御膳で、1日40組限定の3,000円、昨年は7~9月の3カ月限定で連日予約いっぱいの大好評だったようです。

お腹を満たすためだけに、ホテルでお決まりな朝食を食べるよりも、その土地でしか味わえない景色で食事をしたい。3,000円の朝食は若干贅沢かもしれませんが、観光客も多い土地柄、旅行に来たからには十二分にその土地を楽しみたいという旅行者の心理にうまくそっていると考えます。

作るのではなく、組み合わせて「生み出す」

ここで大事なのは、二条城に人を呼ぶのに、何か施設を建設するなど多額の費用をかけてハードをつくっているのではないということ。

今すでにある「庭園」というコンテンツに「朝食」を組み合わせて、「美しい庭園を眺めながら朝食を摂る」という「新しい楽しみ方・体験」を提案していることが秀逸です。

「コト」より「モノ」と言われて久しいですが、何か新しい価値あるものをつくるのではなく、既にある素材の魅力を見つけ、組み合わせることで、価値が新しく生まれる好例と思います。


例えば静岡だったらどうでしょう?

・県東部の漁港・ベテランの漁師+首都圏から車で2時間のアクセス=首都圏からいける本格海釣り教室
・茶畑やみかん畑など里山の農家+人手不足が深刻な収穫作業+ボランティア=人の役に立ちながら自分では育てられない果物やお茶を収穫体験できる


など、静岡なら自然を生かしたコンテンツも考えられそうですね。

ちなみに、前述の朝食サービスは2017年の段階では、利用者の4割が京都市民だったとのこと。
地元の方ほど自分の土地にある観光地には行かないとはよく言われますが、今回のような「体験」を用意することで、普通なら呼び込めない方たちにも来てもらえる、付加価値をも与えられているようです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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