短期売上を追う地方企業に持って欲しい視点について。

ローカルコラム

2020.10.18

桜井 貴斗

マーケター桜井 貴斗

こんにちは、桜井です。

本日は私が最近強く感じている「短期売上を追う地方企業に持って欲しい視点について」まとめてみたいと思います。


今も地方で起こっていること:①売上への距離

先日、↓のような事案がありました。


とあるBtoCのクライアントの「短期売上vs中長期売上」の構図をうまく解消できず、短期売上のみにスコープしすぎた結果、売上がジリ貧になっていってしまった、という話です。

まず、大前提として「短期売上(直近で得られる売上)」は至上命題です。これがなければ商売は成り立ちませんのでとても大切な視点であることは改めて伝えておきます。

しかし残念なのは中長期売上が「vs」となり、対立構図となってしまっていることにあります。トレードオフとも言い換えられるかもしれません。「短期売上を作りたいから中長期売上は捨てる」と言った考えはとても残念だなぁと思っています。

厳密に言うと、地方で商売をしている人の多くは「中長期売上を捨てている」という意識もなく、そこまで考えられていない・余裕がない(=結果捨てている)というのが現状なのかもしれません。


今も地方で起こっていること:②機能的な訴求で短期売上を得る

ではどのようにして短期的な売上を得ているか?というと、訴求点について大きく分けると「機能性」と「情緒性」となります。

今回の短期的な売上においては「機能性」に特化した表現の相性が良いと言われています。



※以前のウェビナーの全容はこちらから

【機能性】
安心・安全・快適・早い・安い・コスパがいい
数字の勝負のため、より優秀な数字を選ぶ「客観的な目線」

【情緒性】
嬉しい・楽しい・共感する・悲しい・感動する・怒る
感情の勝負のため、より強い原体験を選ぶ「主観的な目線」

今でも多くの飲食店・小売店などは「価格施策」「機能施策」で集客を行っています。「創業フェアで〇円OFF!」や「◎◎が〇g配合!」のような数字で語れる施策のことを言います。

しかし数字で表現される施策は誰でも伝わりやすい一方で、さらに優秀な数字が出てきた途端、数字が劣る先の訴求力は落ちてしまう、といった諸刃の剣となっているように感じます。

だからこそ、常に価格や機能を追い求め、いたちごっこのように汗をかかなければなりません。

短期売上を追う以上、この戦いからは逃れられないのだと思っています。大変ですが、「やるしかない」のが現状です。


とある地方カーディーラーで起こっている問題

ここまでの話を整理すると、以下のようなイメージとなります。

・売上には【短期の売上】と【中長期の売上】がある
・さらに集客施策には【機能性】と【情緒性】に分けられる
・【機能性】は数字で差別化する客観的な目線、【情緒性】は感情で差別化する主観的な目線
・【短期の売上】は消費者をより早く行動変容させなければならないため、訴求の分かりやすさが求められる
・数字で勝負した方が「より」分かりやすいため、機能性の訴求と相性がいい
・しかし機能(価格・性能)の差別化は模倣困難性が低く、常に良い数値を出し続けなければならないため、大変
・短期の売上を作り続けるのはコスト・労力がかかり、薄利多売となるため、スケールメリットがある企業が勝つロジックとなる

となると、スケールメリットが出しにくい地方企業が【短期の売上】×【機能性】で勝ち続けるのはとても難易度が高いと言えます。あくまで正攻法では、ということですが。


ここで1つとあるカーディーラーの事例を紹介したいと思います。とあるメーカーの販売会社で、業界最大手ではありませんが明瞭なコンセプトで多くのファンに指示されています。

現在、コロナ禍で集客・Webからの来場系CVは減少したものの、以下のような現象が起こっています。


・試乗予約、オンライン商談は減少
・一方でオンライン見積やカタログ請求などのWebで完結できるCVは増加
・しかしインサイドセールスやナーチャリングといった観点は持っていないため、Webで完結したユーザーアプローチはできていない
・せっかくWebCVの受け皿を設けていたものの、有効活用できていない状態

これまでは短期の売上を作れる「来場系CV(来場・試乗)」が減少してしまったことで、直近の売上に影響が出てしまっている、という状態です。

この問題の本質は「来場が減った→コロナ禍なので無理に来場は増やせられない→短期の売上は減ってしまっている→どうしよう・・・」といった、短期の売上構築のパターンが少ないことであると考えています。

であれば課題・対策は2つしかなくて、

・「短期の売上」をつくるためのパターンを増やしましょう
・「中長期の売上」をつくるためのスキームを考えましょう

となるはずです。

現在、「オンライン見積・カタログ請求」をしているユーザー心理は車を買う2歩手前(1歩ではなく2歩)と定義し、もう1歩前に進んでもらうためにはどんな施策を考えればいいのか?をイシューにしてみました。

そこで考えたのは以下のような流れです。



↑のイシューを言語化すると以下のような感じです。

シンプルに言うと、「車を買いたい、、だけど買えない」状態なので、潜在的な欲求を持っている人たちの課題を解消してあげることが見込の顕在化に繋がる、と考えました。



あくまで私の仮説ですが、そのカーディーラーのユーザーやWebサイトの動きを見て感じたこと要素です。

大きく分けると【お金の悩み】と【車のたのしさの悩み】となります。



そこで上記の2つの悩みを以下のような具体的なコンテンツに落としてみました。

完全に私の提案の手の内を明かし切ってしまっていますが(笑)、現状の問題からユーザーの不を予測し、具体的なコンテンツ/クリエイティブ設計までブレイクダウンすることで課題解消を進めています。



余談ですが、トヨタカローラ中京はカーシェアリングと洋服レンタルをコラボレーションさせ、車とファッションをトータルコーディネートするサービスをローンチしていました。ユーザーの不を解消できる素敵なサービスだと思います。

【ユーザーが抱えているであろう不】
・どんな車が合うかわからない→カーシェアでお試しできる
・車に合うファッションがわからない→洋服レンタルでお試しできる

おでかけクローゼット




最後に:問題解消をどこまでやりきるか

事例が少々長くなって今いましたが、先ほどのカーディーラーにおいて考えると、どこまで自社やりきるか?(どこまでの領域をカバーするか?)かと考えています。

判断基準は【自社のリソース】と【課題の優先順位】です。

【課題】 新車/中古車検討の【購入ターム×ユーザー像パターン】を理解/仮説立てする

・ターム(直近・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月)ごとに【欲しい情報】はなにか?
・どのタームまでディーラーとして追っていくか(メーカーとディーラーの線引きを決める)
・どんな【メディア】を見ているのか?どんな【キーワード】で検索しているのか?
・ターム×ユーザーごとの車選びの【優先順位】はなにか?
・ターム×ユーザーごとにカーディーラーにどんなことを【期待している】のか?

上記を定めた上で、タームごとの施策(=手法)を検討していくイメージです。

ユーザーごとのWeb広告上でのゴール(CV)の設定を再検討する

・直近購入ユーザーの来場予約/個人情報取得方法
・3ヶ月以内検討のユーザーの来場予約/個人情報取得方法
・6ヶ月以内検討のユーザーの来場予約/個人情報取得方法
・12ヶ月以内検討のユーザーの来場予約/個人情報取得方法
※個人情報・・・名前・住所・電話番号・メールアドレス

※以下のような表を用いながら「ターム」「役割」「落としどころ」「訴求内容」を整理していきます。



上記が中長期の売上をつくるための思考パターンとなりますが、中長期の施策は非常に広範囲に渡ります。

場合によっては1年後の売上になってしまうこともあるため、それまでに短期の売上だけで体力が持たなくなってしまっては意味を成しません。

つまり決めるべきは以下の通りです。

・短期の売上でショートする売上・利益の不足を正確に把握する
・なぜ不足が起こってしまったか?(=原因)を正確に把握する
・対策とともに、中長期の売上で【いつまでに・どのくらい】の不足を補填するかを把握する
・どのような領域(ターゲット/ユーザーの不)の中長期の売上をつくるのか?を決める

刀の森岡さんも書籍で良い戦略とされる4つのSについて言及しています。中長期の売上をつくる上では自社にとって相性の良い戦略かどうか、も論点の1つになると思います。



以上が中長期の売上を立てる際に考えておきたいポイントとその事例でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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