海外の事例から「インクルーシブ・マーケティング」を考えてみた。

研究レポート

2020.04.18

朝香 和直

マーケター朝香 和直

こんにちは、朝香です。

突然ですが、あなたが化粧品の新商品の広告担当だとして、どんな広告ビジュアルつくっているとイメージされますか?

「女性が化粧をしているシーン」を多くの方は想像すると思いますが、今の世の中、化粧をするのは女性だけとは限らない可能性があります。男性だって、化粧をしたり、楽しんだりする時代です。

多様性を受け入れることは「ダイバーシティ(多様性)」と言われますが、マイノリティ(少数派)と呼ばれる方々への配慮がコンテンツ・クリエイティブに反映されていることはまだまだ少ないように思います。

こうした(今はまだ)少数派を取り込むことで企業の信頼や評判を高め、消費者や従業員、ステークホルダーとの関係を強固にし、揺るがない企業存続を推し進めることを「インクルーシブ・マーケティング」と呼びます。

今回はインクルーシブ・マーケティングの事例をお話しつつ、採用している企業のどういった部分がインクルーシビティが私なりに考えてみたいと思います。

事例①Glossier

ミレニアル世代を中心に人気のあるコスメブランドであり、ユーザーのフィードバックを積極的に商品開発へ取り入れている企業です。

インスタでの投稿において、女性のモデルではなく男性モデルを積極的に登用することで、「化粧品は女性だけがするものじゃない」といったメッセージを発信しています。

【抽象化】
男性が女性と同じようにきれいになってもいい、化粧を楽しんでもいいという多様性を認め、「本当は女性の服を着てみたかった」や「女性らしい自分を誇れる」といったニーズが生まれ新しい購買層の獲得に繋がるのではないかと考えています。


事例②Tread by Everlane

2019年春の発売と共に大人気になったスニーカーブランド。

究極のエコスニーカーを目指し、ソールの部分には94%リサイクルプラスチックが採用されているそうです。この会社が手掛けた広告がインクルーシビティと話題になっています。

義足のモデルを広告にしており、その義足がブランドのイメージにマッチし、企業が目指しているファッションやビジュアルを実現できているのではないでしょうか。

「義足でのファッションを楽しむ権利がある」というメッセージを感じとりました。

【抽象化】
「ファッションを楽しむことで障害を持つ人がもっと自分らしさ出せるようになる」→「新しいチャレンジに臆さない、躊躇しない、踏み出すことで障害を持つ人との関わり方が社会で変わっていく」とメッセージ性を感じます。


事例③バービー(マテル)

小さい子供のおもちゃである人形にもインクルーシブの流れは起きています。

車椅子や義足のバービー人形の発売を2019年に発表。これまでの肌の色や体型など、多様性を受け入れた商品展開をしていましたが、2019年は身体の障害がある方を対象としたのははじめてのことです。

私の娘もよく人形で遊んでおり、人形遊びを通じて美やファッションへの興味を持ち始めるきっかけとなっています。

また、2015年には、女性であろうがどの職種にでもなれるというメッセージを謳った「Imagine The Possibilities(可能性を創造しよう)」というタイトルのバービー動画広告を公開し、大学教授、獣医、アメリカンフットボールのコーチなど、小さな女の子たちがその職業に扮して大人たちに支持・指導している様子を公開しました。

小さい頃に遊んだ人形遊びを通じて、「どんな業界、職業も、性別関係なく誰もがなることができる」メッセージを発信しています。

【抽象化】
職種への隔たりがなくなることで、この仕事は「男性でなければ、または女性でなければ」といったボーダーがなくなり、本当の意味で男女の差別化がなくなっていくように思います。また、子供の遊び方にも影響があると感じており、「男の子は〇〇で遊ぶべき、女の子は〇〇で遊ぶべき」といった概念がなくなり、社会全体でジェンダーレスを受け入れる土台作りにもなると思います。

3つの事例に対して私なりに抽象化をしてみましたが、日本ではまだまだこうしたマイノリティに対しての配慮は少なく、 「〇〇いえば〇〇のような」様式のもとで考えることが常態化されています。

“前提を疑う”といった意識の元、少人数、社会的弱者が考えている力強いメッセージ、社会の理念を覆すような考えはマーケティングとしてどんどん取り入れていくべきだと思いました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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