『STARTUP』を読んで。

研究レポート

2020.07.19

桜井 貴斗

マーケター桜井 貴斗

こんにちは、桜井です。

『STARTUP』を読んで、個人的に気になった点を抜粋して私見をまとめてみました。


いいアイディアとは何か

(本書より)
シード期(創業初期)の起業家に投資するアクセラレータプログラム「Code Republic」では、以下の5つの基準をアイディア評価の出発点としている。

1:誰の何の課題を解決しているか
2:スケールできるのか
3:既存のサービスに置き換わる新しいサービスか
4:ビジネスとして成立するのか
5:数年後により多くの人に使われるサービスか

よく「いいアイディアを思いつく人」と漠然と定義されるのは上記の5つが当てはまっていることが多いなぁと思っています。

そして大抵は全く新しいプロダクト・サービスではなく、既にあるものとの代替品であることが大多数です。

レシピ動画のクラシルはクックパッドと比較してよりキレイ&動画で見やすいサービス、SPEEDAは四季報読むよりもタイムリー、といった風に、課題解決の方向感は既存サービスと一緒だけど、より多くの人の課題解決になっているんじゃないかと思います。


お金をかけずにいいメンバーを集めるには

(本書より)
初期は、エージェントなどお金がかかる手段を使わずに、いかにリファラルで採用できるかが重要だ。リファラルの波を作り出すための基本的な共通項は、以下の6つに整理できるだろう。

1:幅広いタッチポイントを作る
2:アクションを繰り返す
3:現在のみならず、未来の事業展開を意識する
4:結果が出るまで徹底する
5:第三者のレファレンスを取る
6:仕組み化する

いいアイディアが思いついたとして、どうやってそのアイディアを実現するか?というとそこには仲間が必要です。

私も組織の中で新規事業を推進していますが(丸3年)、事業がスケールし始めると、より高いレベルを求めるようになり、結果的に「人材育成だけでは追い付かない」ようになってきます。

場合によっては外部から採用したり、もしくはアウトソースとして業務委託や副業で協業していく、という流れになっています。

本質は「スキルセット」があり、「ビジョン・ミッションに共感」してくれる人を何度も諦めずにアプローチし、口説くか、という泥臭いことだと思っています。

スキルがあるだけではすぐ転職されてしまうし、ビジョン・ミッションに共感するだけでは実力が追い付かず辛いため、両方ないと厳しい。そこで、ビズリーチの多田さんはリファラル採用(既存社員からの紹介)を推しているのですが、そのポイントを以下の通り語っています。

(本書より)
ビズリーチの多田はリファラル採用成功のポイントに次の3点を挙げている。

1:トップの熱量
(自ら率先して行動することで、全社員がリファラル採用に主体的に参加)

2:数値の可視化
(ランキングなどを導入して、社員同士が楽しみながら競い合う)

3:表彰制度
(全社に対する貢献として表彰する。副賞として学習支援補助を出すなど)

優秀な社員の紹介は優秀である、というのは結構その通りなのですが、上記の通り「スキルセット」と「ビジョン・ミッション」でいうと、優秀な社員からの紹介はスキルセット寄りの人材が多いように感じます。

ではビジョン・ミッションに共感してもらうにはどうするか?というとトップの熱量だと言っています(そりゃそうです)。

トップ自らが出向き、メディア露出する。それこそが1番のリクルートになると私も感じています。

さらに数値の可視化や表彰制度など、紹介が増える仕組みをつくることで、リファラル採用がタスクではなく、楽しみの一環となるような取り組みが大事なんだと思います。


顧客の「声」ではなく「行動」にヒントがある

(本書より)
実は、構想段階のアイディアを利用するかどうかについて顧客の声を聞くことに意味はほとんどないということを、ここではっきり伝えておきたい。アンケートを取ったら、「8割の人が使いたいと答えました」だとか、ユーザーヒアリングをしたら、「全員が素晴らしいサービスだと言ってくれました」というような調査結果は、意味がないし、検証とは言えない。実際にプロダクトやサービスを触ってもらえたか、使い続けてくれたか、という「行動」こそがなによりも重要だ。

商品開発や市場分析を行う際に、外部アンケートや座談会を行う企業は多いと思います。

その際に「●●に困っている」と消費者から直接話を聞き、「●●に困っているなら〇〇(新商品・サービス)を出せば解決するだろう」と考えるのはリスクがある、と本書では言っています。

私も上記のロジックだけでは危ないと思っていて、例えば需要のある「電子マネー」サービスのうち、使われなかった・淘汰された商品・サービスがなぜ出てしまったのか?を考えればわかってくると思います。

電子マネーサービスの中でもSuicaのような接触するだけで決済できるもの、QRコードを読み取るもの、など決済方法は分かれています。さらに各社ポイント連携し、ユーザーにとって「ポイント還元が欲しい」優先順位に応じてサービスを使用しているんじゃないかと思います。

つまりユーザーが「小銭を出す手間が嫌だ」だけで「電子決済だ!」と新サービス開発するのはリスクで、それを具体的に誰が、どんなシーンで困っていて、さらに課題解決の付加価値(ポイントがたまるなど)を考えた上でサービスを検討していく必要がある、ということだと思います。


プロダクトマーケットフィットしているか

(本書より)
「プロダクトマーケットフィットしている」とは、顧客の課題を満足させるプロダクトを提供し、適切な市場に受け入れられている状態のことを指す。Y Combinatorという米国のアクセラレータではこのプロダクトマーケットフィットの水準として、週次のアクティブユーザーが7%以上でオーガニックで成長していること、と定めている。

週次のアクティブユーザーが7%以上で成長、という定義がかなりハードルが高いとは思いますが、、、ただプロダクト(サービス)が市場に受け入れられているのか?を考える癖付けはとても重要だと思っています。

本書の中では市場に受け入れられているかどうか?を計るKPIを以下の通り設定されていましたので改めて紹介します。



良く言われるのが「LTV(顧客生涯価値) > CAC(顧客獲得コスト)」です。

1度顧客になってお金を落としてくれる総額が、獲得するコストを下回ってしまえば赤字になってしまいます。よく、「新規と既存どっちが大事なんだ!」という議論がなされることがありますが、結論どちらも大事です(笑)。

なので新規獲得のコスト、既存顧客の価値を双方KPIでウォッチしながらバランスを見ていくことが求められると思います。


1円でも安く顧客を獲得するには

(本書より)
CAC(顧客1人あたりの獲得単価)を下げる方法は3つに分類される。

1:ターゲット顧客に限定したアプローチを探す
2:Non-Paidを活用する
3:誰も気づいていない獲得方法を発見・発明する

ではCACを下げるにはどうすべきか?ですが、ターゲットを絞る(ターゲットに対して「あなたに向けて発信しています!」と伝える)こと、お金をなるべく使わないこと、他社がやっていない方法を採用する、という3つだとしています。

ターゲットはデモグラレベルの粒度ではなく、詳細なペルソナ設計をつくり、さらにペルソナがどんな「不(不平・不満・不合理)」を抱えているかを仮説立てすることが求められます。

さらにお金をかけない方法で、というと、最近ではSNSのUGC(≒ユーザーのクチコミ)をいかに生み出すか?を設計できる企業が勝っている気がします。

そして誰もやっていない方法・・・これがすごく難しい、、、SNS黎明期であればSNS広告が有効でしたが現在は大衆的な手法になっています。ただ流行っているサービスの黎明期にそのサービスを使用する、というのは競合が少なく、大手も入り込んでいない可能性が高いため、有効かもしれません。リスクはありますが、その分リターンも大きいはずです。


ユーザー獲得のための5つの問い



先ほどの内容をまとめてみると↑の5つとなります。

CAC(顧客獲得コスト)を下げるために、この5つを参考にして問いを立ててみるといいかもしれません。


投資家に何を伝えるべきか



出資を受ける場合、投資家になにを伝えるべきか?についてもまとめてあったので参考までに。

この内容は投資家だけではなく、社内新規事業の提案や、クライアントへの新規事業提案など、すべてにおいて共通する項目だと思いますので、とても汎用性が高い、MECEになった表だと思います。


起業に必要な3つの素養

(本書より)
1:高い目標を持つ
2:得意なことをやる
3:諦めない

1:高い目標を持つ
delyの堀江さんは「ソフトバンクの孫社長のような世の中にインパクトを残せる起業家になりたい」、「時価総額10兆円以上の会社を作りたい」という志を持って起業した。アイディア探しの段階から高い目標がなくてもかまわない。

2:得意なことをやる
MERYの中川さんは女性向けのメディア事業を選んだ理由として「自分がやりたいかどうか。チームとしてテンションが上がるかどうかがまず大事で、その後に市場があるか、事業として成立するかを評価した」とコメントしている。

3:諦めない
ユーザベースの梅田さんは、SPEEDAが予定していたデータ連携パートナーとの契約が白紙になる危機的状況に陥り、投資家からも撤退を勧められてもなお、共同創業者の新野さん・稲垣さんとともに逃げずに戦い続けることを誓った。


すごく単純な話ですが、「志は高く・得意なこと(好きなこと)・諦めずにやり通す」ことができれば事業はつくれるんだと感じました。

一方で、「誰かにやらされる・そんなに好きでもないこと」をし続ける人は諦めやすい体質になってしまうんだなぁとも感じています。
※特に企業内新規事業などに見られます

なので企業内新規事業が成功しにくいのは「企業だから」なのではなく、「志を育て・ゼネラリストではなくスペシャリスト志向」に育成し始めれば新規事業との相性はいいんじゃないかと思っています。

あとは新規事業を独立ではなく、企業内でやる意味を見出せるかどうか、です。ここに企業のビジョン・ミッション・バリューを連動させていくことが強く求められます。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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